記憶は遺伝するか
後天的な「恐怖体験」が、実は子孫に遺伝していくことが判明 - GIGAZINE
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イヤハヤ
この話は、『かつて高山で暮らしていた女性が子供を産んだ。その子供は他の子供に比べて「赤血球/ヘモグロビン濃度の増加」、「心肺機能の強化」が見られた*1』
という話に言い換えることが出来ると思う。
それを「記憶が遺伝した」と言うだろうか?
僕は言わない。
同じように、臭いに大層苛まれた母親の子供に、特定の Olfactory receptor もしくは Olfactory receptor 全体の亢進が見られた(臭いに対し敏感に反応するようになった)として、それを「記憶が遺伝した」と言うか?
僕はやっぱり言わない。
僕の神経生物学あたりの知識は一般教養程度でしかないんだけども
記憶は
「特定のシナプスの繋がり」
「シナプスにおける神経物質やそのレセプターの多少」
によって概ね実現できているのではないかと思っている。
さて、記憶が遺伝するとして、母親の「特定のシナプスの繋がり」や「神経物質やそのレセプターの多少」を子供に伝える時、何をどうすればいいのか。
単なる化学物質やホルモンのようなバルキーな物質が子供の脳細胞の特定のシナプスに働く?
なにがしかのRNAが血中を通って卵細胞まで伝わりエピジェネを実現する?
他にもいろいろ考えられるかもしれないけれども、どれも現実的なコストで用意できるシステムではないだろう(千数百億個 http://www.brain.riken.jp/jp/aware/neurons.html のうちの特定の細胞に狙いを定めて働きかける必要がある)。
ネズミだって電気ショックの事ばかり考えてるわけにはいかないのだ。
*1:実際にあるかどうかは知りません。たとえ話。でも記憶が伝わるよりハードルは低いでしょう?